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■コラム

003. 2018/09/01

Bluetooth対応自作スピーカーの製作 











普段はKW-DAC1にUSBなり光デジタルなりで繋いで音楽を聴いているのですが、
ウォークマンやタブレット端末からそれなりに良い音で聞きたいと思うことがありました。
しかしながら、携帯オーディオなら普段はイヤホンで聴くから良いか、と。
タブレットなら最低限、内蔵スピーカーから音は鳴るから良いか、と。
言うなれば我慢して過ごしていました。




しかしながら、我慢なんてせずに市販品を買ってしまおうかと考え、製品サイトを覗いて見ると、
好みの物は高いですし、他はポップよりのデザインだったりするんですよね。
例えばギターアンプを模したMarshallの物は7万円近くしますし、
Rolandのジャズコーラス似のものは既にディスコン(?)になっているみたいでした。
見た目が面白いギターアンプから離れると、
オーディオよりのブックシェルフ型みたいなのはあまり見かけない。




それなら、もともとStereo誌付属の金属製振動板のスピーカーユニットを買おうかと思ったくらいですし、
Fostex社のかんすぴに興味があったので、
(キットを買っての)自作スピーカーに挑戦してみることにしました。









自作する上での要求仕様は以下の通りです。

・出来れば金属性の振動板
・キューブ、もしくはそれに準ずる小型エンクロージャー
・Bluetooth対応
・それなりの高音質




仕様に対する理由としては、
高分子素材やカーボンやグラスファイバーといった振動板を使ったスピーカーを
普段使用しているので、メタル振動板の音を聴いてみたい。
Bluettoothは音質が多少犠牲になっても、ケーブルを繋がずに気軽に音楽を楽しみたい、
といったところからになります。よって小型化が望ましい。
とはいえ、出る音がいまいちなら本末転倒なので、上手くバランスをとっていこうと考えました。




まず、スピーカーユニットとエンクロージャーを選定することにし、
かんすぴのラインナップを見てみると、最小のものはP650-Eというスピーカーボックスになるようです。
更にこのボックスに推奨されているユニットはP650Kになるのですが、
かんすぴのコンセプトは応援したいものの、金属の振動ではないですし、
今回はお手軽過ぎるかな、という結論に。




ならば、と色々探したところ、ダイトーボイスのSV70W2-52というエンクロージャーが見つかりました。
キューブ型ではないものの、P650-Eより更に小型になります。














画像見ても分かるのですが、
吸音材付きなので、別途用意する必要が無く、ありがたかったです。








次に選定したのがスピーカーユニットで、
エンクロージャーに既に穿っている穴のサイズに合う物を選定しなくてはなりません。
フルレンジで良さそうな物を探しまして、Hi-Vi RESEARCHのB2Sにしました。














こちらは金属の振動版を用いた50mmのフルレンジで、
小型のエンクロージャーにフィットしそうです。どんな音を響かせてくれるのか楽しみです。








エンクロージャー、スピーカーユニットと決まりまして、後は回路と端子類です。
ここで自作したアンプ類を思い起こしてみますと、
高音質を狙っているだけあって、MUSEの大きなコンデンサが立っていたりし、
両電源がどうにかなったとしても、ボックスの中に入りそうにありません。
片電源で動作するD級アンプが望ましいと思うのですが、
本サイトに上げてはいない、TA2020を用いたものしか手元にありません(これもでかい!)




ならばと、世の中には高性能な製品キットを出されているショップが多数ありますので、
その中の1つを選ばせてもらいました。









共立電子産業社様のデジットキットである、
"20WステレオD級パワーアンプキット DAMP-3120NW"です。
こちらはTPA3123D2を使用したアンプになります。
設計からものを作り上げるのもするのも楽しいですが、
キットを組み立てるというのも、また違った楽しみがあります。













他の回路類をご紹介しますと、左端がオーディオ用のBluetoothモジュール類になり、
中央が先程のD級パワーアンプ。
右側の物が以前TA2020用に作った、スイッチング電源のスパイク防止用キャパシタです。
以外と大きいんですが、入るか…?













あと、工程が飛びましたが、スピーカーユニットの固定と
アッテネータ及びミュートスイッチの取り付けをしているところです。













こちらは背面側。
電源スイッチとACアダプタのコネクタ、ヒューズ、それにオーディオ信号ラインです。








ここから基板の裏に接着剤をつけてエンクロージャーに固定したり(なんとか入りました)
吸音材を詰め込んだり、ケーブル類を整理して――






















完成です!








箱から作るとなるともっと大変だったでしょうし、
D級アンプの基板作成からだともっと時間がかかったのだと思われますが、
それなりの時間で楽しみながらできました。








完成してから使用してみたところ、想定通り利便性は高いです。
携帯オーディオでもPCでも昨今はBluetoothが搭載されているもので、
ちょっと内蔵ではないスピーカーで鳴らしてみたい時、
簡単に接続して音楽を奏でさせることが出来ます。
この位のスピーカーだと手元の届く範囲で使うことが多いと思うのですが、
ミュートスイッチを取り付けたことで瞬時に音も切れますし。
ヘッドホンアンプ(端子)とライン出力端子も考えましたが、
そもそもが割り切って小型を目指したものなので、その点も問題ありません。




次に音質に関して。
金属製振動板に密閉型のエンクロージャーという組み合わせのスピーカーは
今まで持っていませんでした。
そもそもメタル振動板を使用したスピーカーもなく、
ここまでの小型スピーカーも普段使用しておらず、
エンクロージャーはバスレフが殆どという状況。
つまり新感覚なわけなのですが、なかなか聴ける音でした。




小型スピーカーなので当然、体を震わす低音はでないものの、
ベースラインの低い音程まで綺麗に再現出来ています(多少、コンデンサが効いている?)
Bluetoothによる音質の劣化についても許容範囲で、
もちろん大型のオーディオシステムに勝てるわけはないのですが、
タブレットの内蔵スピーカーと比べれば圧倒的に良い音を出しています。
本スピーカーで鳴らして、初めて裏で微かに鳴っているストリングに気づいた曲もあったくらいです。








今回、エンクロージャーの設計などは行っておらず、
深く自作スピーカーの世界に入ったわけではありませんが、
上記の流れだけでも色々とノウハウとして得るものがありました。
ただ最も得られたこととしては、シンプルにお気に入りのスピーカーユニットとエンクロージャーと、
アンプを組み合わせたシステムを得られたということだと思います。




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